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治療体験記 "わたしの場合"

このサイトだけで読める「若年性乳がんキャンサーの為の連載コラム」。 “Pink Ring Extend”のメンバーによる、書き下ろし“治療体験記”。一概に乳がんといえども、10人のキャンサーがいれば10通りある治療方法。その現場を綴ったリアル・コラムです。

“わたし”=斎木みえ(仮名) / 1978年生まれ・独身
28歳のとき腫瘍に気づき、31歳で告知。ステージ3。左胸に3.8×3.2×4.0cm大の腫瘍。左胸に合計6センチ大の腫瘍が二つ。

わたしの場合、28歳のときに自分で確認したしこり。「若い女性にはよくあること」と言われノーチェックで過ごした3年後に告知。

治療中につけていたスケジュール表。抗がん剤の周期が一目でわかる1年タイプを使用

私が胸にしこりを見つけたのは28歳のときでした。<私ががんのはずがない>と思いつつ、念のために超音波検査を受けました。そのときの結果は「妊娠の経験のない女性によくあることですが、心配だったら毎年検診を受けて下さい」というものでした。<やっぱりこんなに若くして乳がんになんてなるはずないのだ>と勘違い、胸にしこりはあるものの乳がん検診も受けずにいた3年後、気づいたらしこりがとても大きくなっていました。
そこで近所の病院でマンモグラフィと超音波検査をしたところ、先生に「大きな病院へ行った方がいい」と言われ、まさかまさかの展開に現実のものとは思えませんでした。その後も、細胞診、MRI、PETを受けて「検査の結果、心配ありませんでした」と言われるものと信じて疑いませんでした。だって私は人一倍元気で、どこにも身体の不調はなかったのだもの。しかし、どうやら私にはがん細胞があったようです。

私の周りには同じような経験をした人がおらず、映画やニュースで知る“がん”という病気はとても怖いもので、抗がん剤とは?放射線治療とは?どれくらい副作用に苦しむのか?数ヵ月後の自分がどうなっているのかが全く分からず不安だらけの治療前でした。想像に反し実際は・・・・・一番気になっていた脱毛もおしゃれウィッグとして楽しんでみたり、体調の良い日には遊びに出かけたり、それなりに新しい生活を満喫できちゃったのです。治療に関しては全力投球、それ以外では(無理のない範囲で)少しもひっそりしている必要はなかったと今でも思っています。そして、今は毎朝の薬と3カ月に1回の注射以外は、罹患する前と変わりなく働き、お酒も飲むし、週末にはスキーやゴルフもしています。

あんなに平凡だった普通の日々が、羨ましくて仕方がない。否が応でも“みんなと違う”と感じてしまう現実。それでも‥

ただ、やっぱり繊細なのは身体よりも心。抗がん剤治療中には、私ががんになろうとも、私が抗がん剤を打とうとも、家族はいつもと変わらない生活をしているということが、当前のことなのに、羨ましくて仕方なくなりました。かつての私のように「会社ヤダぁ」と言いながら毎日働いている友達を見ては、ちゃんと社会に参加できていない自分が落ちこぼれのように思えて悲しくなることがありました。そして、がん細胞がなくなった今も“がん”という言葉がつきまとう。基本的には明るく毎日を過ごすことができているけれど、ふとしたときに自分がキャンサーであることが無性に悲しくなり、周りのみんなとは違うのだと感じることがあります。<病気にさえなっていなかったら>なんて考えても仕方ないと知ってはいるものの、どうしてもこれは消し去ることのできない現実なのだと。肩こりも気持ちの浮き沈みもみんな病気の所為のように思えてしまう。

手術から1年半が経過した今は、がんに負けなかった自分を誇らしく思えることもあれば、そんな自分は無理をしているように思えることもあり、自分でも自分のことが分からない状態です。でも、あと何年かしたらこの病気がマイナスではなくてプラスの経験であったと心から思えるようになっているのではないかという気がしています、というか、そうでなきゃやっていられない。そんな折、全盲でありながらどんなことにでも果敢に挑戦している立木早絵さんが「目が見えないのは足が遅いのと同じことで、ハンディじゃない」と言っているのを聞いたときに強く共感し、パワーをもらいました。がん細胞が見つかったのは大変なことだけれども、それだからと特別視する必要はないのだということを自分に言い聞かせ、また同じ病気で落ち込んでいる人たちと共有し、そして、それが多くの人たちに浸透して、がんに対する偏見のない社会が一日でも早く訪れますように。

(2011年10月31日)

【Attention】
ここに綴られている治療方針を含んだ”医療情報”は、治療当時の一個人の記録です。病気についての不安や疑問をもたれた方は、すぐに専門医で診察を受けることをお薦めします。このコラムは乳がんの[個人体験記]であり、「がん治療の指南書」ではありません。予めご理解とご了承頂けますようお願いします。

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